ナイルパーチの女子会|ホステスの読書日記
一言で言うと、心の平和をかき乱す本だと思う。
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佐藤優がいたるところで勧めていて、興味を持つようになって買ってみたのだけど、最初から最後までみんな不幸せそうだし、ところどころ自分の子供時代の心のささくれを逆なでしてくる描写が満載。(佐藤優も、パーソナリティ障害がよく分かる傑作だと勧めていたので、ある意味とても納得感はある。笑)
美人で孤独にバリバリとキャリアを歩んで来た主人公が、自分とは全く違うタイプの向上心のあまりないタイプの女の人とひょんなことで仲良くなって、むしろ急速に仲良くなりすぎて距離感を掴めなくって、いつの間にか些細な違いが許せなくなって、そのまま二人ともどんどん人生が崩壊していく。
そして、メインの二人以外にも家族だったり同僚だったり友人だったり、結構な人数の人が背景として登場するのだけど、みんなどうにも距離感を掴むのがあまり上手ではなくて、不幸せ。どことなく、自分にも心当たりがあるような気がして、彼女たちみたいにどこかで自我が崩壊してしまうのではと怖くなる。
そして、最後まで明確な救いは提示されない。主人公が幸せになれる気配は全くもって感じられないまま。
・・・ある意味、夏の怪談かも。
それとももう何年かして、人間関係に揉まれて洗練された価値観を身につけたら、少しは違う画が見えるんだろうか。