ホステスの読書日記:ルネサンスの女たち
塩野先生のデビュー作。
冒頭に、最近先生自身が本書を読み返してみての前書きが書いてあって、やっぱりこの人は素敵だなぁと思う。
神は細部に宿る、と信じている私は、これまでにただの一度も、「一冊でわかる世界史」、とか、「早わかり西洋史」、とかを書くのを拒絶してきました。歴史という複雑な人間世界を描き出すのに、手っ取り早くまとめてしまってはその真実に迫るのは不可能と思っていたし、それよりも何よりも、簡単にまとめてしまうのではあの時代でも懸命に生きた人々に例を失する、と思っているからです。
ルネサンスの女たち 前書きより
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でも、先生がこの本を書いたのが29歳~30歳にかけてと知って、ものすごく焦る。
確かにホステスしてるのもOLしているのもそれなりに楽しいけど、ただそれだけだよなぁって。このブログだって薄っぺらいし、「こんなんでいいのか、私?」って感じ。
しかも、この本がルネサンス時代に実在して自分の人生を切り拓いていった女性のお話しなので、読み進めれば読み進めるほど、焦る。
彼女たちは20代になる前から結婚して子供もいるし、国を動かして政治の中心で脚光を浴びたり、芸術に対する造詣を深めてたりする。人間って絶えず進化している生き物なんじゃなかったの?女性の社会進出なんて、声高に叫ばなくたって、もう何百年も前に実現しているじゃん。
同じ女性だから共感もできるし、彼女たちを知れば知るほど焦るし、歴史モノっていう枠を超えて夢中になった一冊でした。